Frans Mäyrä, 『An Introduction to Game Studies: Games and Culture』(SAGE Publications, 2008)のメモ。
http://www.sagepub.com/books/Book230674?siteId=sage-us&prodTypes=any&q=an+introduction+to+game+studies&fs=1
1997年頃から新たな学術研究分野としてあらわれ、研究者や研究者間の交流が活発化しているゲーム研究に関する入門書で、ゲーム、ゲームプレイ、関連する現象に焦点を当てています。ゲーム研究はインターディシプリナリー(学際的)な分野で、歴史学、人類学、心理学、社会学、教育科学、コンピューター科学、文学、美学などの知識や経験を利用しています。おそらく世界初の、デジタルゲーム研究をしたい学生のための教科書です。
最初にゲーム研究の概説を行った後、ゲームにおける意味が、特定の文化的状況における人々の相互作用の中で生まれるという、構成主義的な視点から、ゲーム、ゲームプレイ、その文脈の歴史を説明します。授業で使用する教科書として書かれているので、参考書や実践課題、さらにゲーム研究のための方法(デザイン、実験、調査など)も記載されています。日本でも、立命館大学や東京大学で、教科書として採用されているようです。
同書については、その要約や利用方法、講義スライドをまとめたサイトが、著者自身によって作られています。
http://gamestudiesbook.net/
Frans Mäyrä先生は、情報研究、インタラクティブメディア、デジタル文化、ゲーム研究を研究している、フィンランドのタンペレ大学の教授。北欧のゲーム研究を主導している方です。今年8月に行われたDiGRA2013でも、「ゲーム研究の10年:フィンランドの視点」という講演を行われたとのこと。
http://fransmayra.fi/
http://dm.lmc.gatech.edu/digra2013/participant/frans-mayra/
以下、目次です。引き続き、誤訳はご容赦を。
--
図表リスト
コラムリスト
謝辞
1 はじめに: ゲーム研究とは何か?
ゲームを理解すること
(非常に)短いゲーム研究の歴史
要約と結論
参考文献
指導課題: 個人的なゲーム史
2 ゲーム文化: ゲームにおける意味
文化システムとしてのゲーム
サブカルチャーとしてのゲーム文化
要約と結論
参考文献
課題: ゲーム文化調査
3 歴史の中のプレイとゲーム
ゲーム史を書くこと
ゲームの定義
ゲームの前史
文化の中でのプレイの研究
要約と結論
参考文献
課題: 非デジタルゲームの再考
4 1970年代における二重構造とアクションゲーム
多層的な意味創出システムとしてのデジタルゲーム
「古典」をいかに定義するか?
デジタルゲームの30年
近代情報社会の誕生
1970年代のゲーム: 語彙の学習
ポン(1972): 楽しめる中核的なゲームプレイの導入
ゲームデバイスの重要性
スペースインベーダー(1978)とシューターのプレイのしやすさ
要約と結論
参考文献
初期のデジタルゲームに関する課題
5 1980年代ゲームにおけるアドベンチャーと他のフィクション
1980年代のゲームと文化
パックマン(1980)とポップカルチャーとしてのデジタルゲーム
ドンキーコング(1981)、インタラクティブな物語世界の誕生
テクストアドベンチャーとコンピューターRPGの進化
ウルティマⅣ:アバタールの冒険(1985)とゲームの主題の深さ
要約と結論
参考文献
ゲーム文化の多様化に関する課題
6 三次元と1990年代前半
1990年代におけるゲームについての議論
意味のある視聴覚技術か?
シヴィライゼーション(1991): イデオロギー的なシミュレーションか、ただの戦略的プレイか?
Doom(1993): 論争、没入、プレイヤー生成型Mod文化
要約と結論
参考文献
3Dとターン制に関する課題
7 現実とゲーム: 新世紀に入ったゲーム文化
世界としてのゲーム、ゲームとしての世界
オンラインゲームの発展
EverQuest(1999)、World of Warcraft(2004)、他のバーチャル世界
マルチモーダルで現実に浸透する(pervasive)ゲーム
※マルチモーダル: 複数のコミュニケーション様式を使用すること
※pervasive: ゲーム経験やフィクション世界が現実世界と融合すること。ARGやLRPGなど
要約と結論
参考文献
複合現実とマルチプレイヤーゲームに関する課題
8 ゲーム研究プロジェクトのための準備
調査のための学習
方法の道具箱の選択と構築
人文科学の方法
社会科学の方法
デザイン研究の方法
方法としてのゲームプレイ
読者のために書くこと
文献
索引
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。