2017年3月19日日曜日

2016年度後半の成果: プログラミング教育、位置情報ゲーム、同人ゲーム、アニメ産業

2016年度後半の成果をいくつかご報告します。

1.プログラミング教育
 日本でも2020年度からプログラミング教育が義務教育として導入されることが話題になってますが、プログラミング教育を先行して開始している英国・フィンランドでの現地調査に基づいて、フィンランドにおける学校内外でのプログラミング教育(英名:Coding Education)の特徴をまとめました。

・『次世代ICT社会に向けた人材育成策とプログラミング教育の国際動向――米国、英国、フィンランドにおける将来ビジョンと社会連携』(マルチメディア振興センター・自主研究報告書) 
 3名の研究員が、米・英・フィンランドのプログラミング教育とICT人材育成の特徴をそれぞれ解説しています。3か国の共通点・相違点などをまとめました。報告書のPDFがダウンロードできます。

・「義務教育でも開始されたフィンランドのプログラミング教育の特徴と日本への示唆」『日本データ通信』213
 フィンランドの学校におけるプログラミング教育の特徴を解説してます。現地の小学校での観察や、先生方へのインタビューを通して、端末を「使わない」教育や、「教員」の教育などが、日本のプログラミング教育の課題になるだろう、と指摘しました。

2.位置情報ゲーム
 「ポケモンGO」に関する取材を何回か受けたのを機に、位置情報ゲーム(Location-Based Games, LBG)の調査研究を始めました。

・「情報社会とデジタルゲーム――フィンランド・タンペレ大学における『位置情報ゲーム』研究の取り組み」日本デジタルゲーム学会2016年度年次大会発表 
 LBG研究の第一段階として、同ゲームの研究の中心地の一つであるフィンランドのタンペレ大学の取り組みを整理しました。発表後には、LBGより「ルディフィーケーション」概念について、多くの方に感想を頂きました。「ルディフィケーション」の内容については、スライドをご覧下さい。

 あと、余談ですが、フィンランド語の「y」の音は、日本語の「ウ」に近いようです。
 http://suomiabc.pupu.jp/test/aisatsu/hajimeni.htm
 http://opiskellasuomea.blogspot.jp/2011/07/blog-post_29.html

 なので、ゲーム研究者のFrans Mäyräの姓の読み方も、「マウラ」のようです。現地のヤーッコ・スオミネン先生にも確認しましたが、「ウ」のようでした。

3.同人ゲーム(英語版)
 日本の同人ゲーム制作の特徴を、インディーゲームや商業ゲームの制作との比較に基づいて分析した拙論文が掲載された英語論文集が刊行されました。

・Content Production Fields and Doujin Game Developers in Japan: Non-economic Rewards as Drivers of Variety in Games, Transnational Contexts of Culture, Gender, Class, and Colonialism in Play: Video Games in East Asia, Palgrave Macmillan

・「国際学術出版のプロセス――CFPから出版まで」日本デジタルゲーム学会2016年度年次大会発表 
 上記論文のCFPから出版までのプロセスを、ゲーム研究者向けに紹介しました。

4.アニメ産業
 デジタルハリウッド大学大学院で行っている、日本のアニメーション産業の構造に関する調査研究の一部を発表しました。

・「地方アニメスタジオの可能性――コンテンツ研究の蓄積から」地方から発信するゲームとアニメ~高梁から『世界』にアニメを発信!シンポジウム
 岡山県の吉備国際大学で行われたシンポジウムで、地方アニメスタジオの可能性と課題について報告しました。

・「岡山)アニメスタジオ、県内に続々 『地元から世界に』」朝日新聞
 アニメ制作における産学官連携に関するコメントが掲載されました。

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