2023年7月22日土曜日

Snow Man「slow...」

以下は、別の場所で書いた記事を若干修正したものです。

Snow Manの新曲「slow...」。
https://youtu.be/xKzWEJO8Gj0

これまでSnow Manの曲では多かった明るい曲やラブソングとは正反対の、アイデンティティや方向性の喪失、苦悩や葛藤を謳った内省的な曲になっている。

 曇るガラスを Wipe out
 探す Identity and pride
 教えてくれよ Who’s that guy?
 Look in the mirror, slow, slow, slow it down

2012年に結成されたSnow Manは、ジャニーズグループの中では相対的に美形と評価されることが少なく、身長が高く、裕福な家庭の出身者が多い。そのためか、ジャニー氏にあまり評価されず、Hey! Say! Jump、Sexy Zone、ジャニーズWEST、King & Princeのような同輩・後輩のグループが若くしてデビューしていくのを何度も見送ってきた。そうした中でも、彼らはくさらずにバックダンサーや舞台、Youtubeの動画で、ダンスやアクロ、トークの力を地道に身につけていく。2019年には、滝沢氏の後押しを受け、やはりデビューを逃してきた新メンバー3人を加え、2020年にようやくデビューを果たした。このような苦労人的経歴があるため、「ブラザービート」「JUICY」「オレンジkiss」「HELLO HELLO」のような明るい曲やラブソング(主に映画・ドラマのタイアップ曲)を除くと、グループの曲には、「D.D.」「Grandeur」「ナミダの海を越えて行け」「Movin' Up」のように、逆境の苦しさや、その中でもがきながら這い上がり夢をつかんでいく(上昇していく)ことを謳った曲が多かった。

 「ナミダの海を越えて行け」 https://youtu.be/DY8FfX-DDb4
 「Movin' Up」  https://youtu.be/k1T6vBBrZXo
 「Snow Dream」https://youtu.be/2YGXu-zmcDg ※デビュー前、6人時代の曲

下積みの中で身につけた、K-Popにも対抗できるほどのダンスのスキルがSnow Manの持ち味であるが、それに加え、長年の不遇とひたむきな努力、そこからの大逆転というグループの経歴とそれを反映した曲が、Snow Manに独特のエモーショナルさをもたらしていた。ただ、頂点=国民的アイドルに近づく過程で、上昇を目指すだけではグループやファンの統合性が保たれず、グループにもファンにも亀裂や葛藤が見られてきた(いわゆる「同担拒否」でなく「他担拒否」が多いのもSnow Manのファンの特徴かもしれない)。こうした中で、人間の二面性をテーマにした「W」からさらに踏み込んで、鏡に映った自分を見てアイデンティティや未来の方向性について内省する人間を描いた「slow...」は、グループとファンの現在地を巧みに表現した歌詞・メロディになっている。また、人気メンバーがダンスでセンターのポジションにかなり固定され、歌唱の担当の比率も高かった他の曲と異なり、「slow...」では振付と歌割の点で各メンバーに見せ場が与えられており、各メンバーのファンが不満を感じることが少なくなっているように思われる。

グループの成長と成熟とともに、グループ内の葛藤、ひずみ、亀裂はより現れてくるだろう。Snow Manやジャニーズ事務所がこれらをどのように受け止めるか、また、それが曲の中でどのように表現されていくだろうか。今後注目すべき箇所になるだろう。

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